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“IT関係に詳しく、日本弁護士連合会コンピュータ委員会のメンバーでもある弁護士の高橋郁夫氏は、現在、国立国会図書館のWebサイトで公開されている日本国憲法の成立過程に関する資料にまで立ち戻り、「通信の秘密…”

IT関係に詳しく、日本弁護士連合会コンピュータ委員会のメンバーでもある弁護士の高橋郁夫氏は、現在、国立国会図書館のWebサイトで公開されている日本国憲法の成立過程に関する資料にまで立ち戻り、「通信の秘密」とは本来どのような意図で定められた規定なのかについて解説した。高橋氏によれば、現憲法の中で「通信の秘密」が第21条(表現の自由)の中で定められているように、例えば仲間内で政府に批判的な内容の会話を電話等を通じて行なった場合に、それを政府が検閲して発言した人間を逮捕するといったことが起きないようにすることがそもそもの(GHQ側の)起草者の意図したところだと見られるという。

 ところが大日本帝国憲法にはもともと「信書の秘密」に関する規定があり、当時の日本側の関係者はGHQ側の意図とは異なり「通信の秘密」をこの「信書の秘密」の概念が拡大したものだと誤解してしまったのではないか、と高橋氏は推測する。そのため表現の自由を守るためであれば本来保護しなくてもいい情報まで「通信の秘密」の対象として含まれることになってしまい、現在の混乱を招いていると高橋氏は主張した。

 高橋氏は、昔ながらのアナログ電話網における「通信の秘密」が保護される具体例として、いわゆる逆探知(電話の発信場所を、発信者の同意無しに受信者に知らせたりすることは、特別な理由がない限り違法となる)や通話記録(通話状況を記録することは本来「通信の秘密」の侵害だが、課金処理など電気通信事業者としての業務に必要な範囲で正当業務行為として違法性が阻却される)などを挙げた。その上でこれをインターネットに応用した場合「DoS攻撃の攻撃元の特定が逆探知と同じとみなされて違法とされてしまう」「ISPが、クラッカーが攻撃目的で送信してきたパケットの内容を記録・解析することは正当業務行為とみなされない可能性がある」「複数事業者でクラッカー情報を共有することも『通信の秘密』の漏洩とされ違法となる」などという問題が起こるとして、インターネットと電話を同じアナロジーで見ることに無理があるのではないかとの疑問を提示した。

 高橋氏は、郵便法や電波法などやはり通信に関わる別の法律と電気通信事業法を比較した。例えば郵便法では送り主や宛先などに関する情報は「通信の秘密」ではなく「他人の秘密」として保護されていること、郵便で送ることのできないいわゆる「禁制品」に関する規定があることや内容物に関する申告(場合によっては開封による確認)を求めることができるることなどを挙げ、「リアルなウイルスは運んじゃいけないことになっているのに、サイバーなウイルスは運ばなきゃいけないというのは変だ」と語った。また、電波法では電波の傍受そのものは合法であることなどを挙げ、「(インターネット上の)パケット通信にはもともと電波法的な要素があるのに、ゆがんだ形でアプリケーションを動かしてしまっている」とも述べた。

 そして高橋氏は「これだけ話がもつれると一度リセットしてやり直したいところだが現実には無理」と述べた上で、米国では日本のように「通信の秘密」を一律に保護するのではなく、情報の内容に応じて段階的に保護の度合いをクラス分けしていることを紹介し、日本でもパケット通信に関してネットワーク管理や被害者救済などとの関係を考慮しつつ、「通信の秘密」をどの程度保護すべきかに関する適切な社会的コンセンサス作りが必要であると訴えた。

「通信の秘密」はどこまで保護すべきものなのか (via raurublock) (via yuco) (via ipodstyle) (via gkojax-text) (via k32ru)

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